Microsoft 社が提供するクラウドサービス Windows Azure の概要と価格が7月14日に公表されたので実際にWindows Azure CTPを使用してみました。Microsoft のAzure のページから申し込むと3日後にinvitation code が送られてきて使用できるようになりました。Visual Studio にWindows Azure Tools for Microsoft Visual Studioを導入すれば、ストレージに関する部分を除いてはスムーズに移行することができました。
SQL Azure については、今春に仕様変更をした関係で、近くCTP版が使用できるようになるようです。SQL Azure は、SQL Server 2008 をベースにしており互換性が高く、既存のSQL Server ベースのアプリケーションをAzure上に容易に展開できるようなので、SQL Azure のCTP版が公開されたら本格的に使ってみようと思っています。

価格の方ですが、CPU 1時間あたり0.12ドル、ストレージ1ヶ月1GBあたり0.15ドル、ストレージトランザクションが1万回あたり0.01ドル、帯域幅が1GBあたり発信で0.15ドル、受信で0.1ドルです。Google App Engine と比較すると無料分がなく単価もやや割高です。どの程度割高か、無料分をWindows Azure を使用した場合の料金を試算してみると、Google App Engine では、比較的効率のよいアプリケーションで月500万ページビューを無料で処理できるということなので、AzureのCPU時間の計算をAmazon EC2 のCPU時間の計算と同じだと仮定して試算してみると、以下のように月額で1万円程度になります。小規模なホストでは、Google App Engine とではかなりのコスト差になると思われます。

項目 価格(ドル) 備考
CPU 86.40 24時間×30日×0.12ドル/時間
ストレージ 0.15 1GB×0.15ドル/GB
帯域幅(発信) 4.50 1GB×30日×0.15ドル/GB
帯域幅(受信) 0.90 発信帯域幅の20%と仮定
ストレージトランザクション 5.00 500万×1回×0.01ドル/1万回
1ページビューで1ストレージトランザクションと仮定
96.95  

Azure のCPU時間の計算は、発行(deploy)してから削除するまでの時間なので、Web ロールのように24時間立ち上げておく場合は、1ヶ月で24時間×30日分が必要になってくると思われます。Web ロールとWorker ロールの両方を使うと2倍の192.8ドルになると思われます。
こうしてみるとコストのほとんどがCPUの料金ということになりますが、割引も導入されると思われます。Google App EngineのCPU時間は、実際にアプリケーションが利用する時間を細かく計算するため、無料分の6.5時間で小規模なホストは無料で処理できるということのようです。

Azureには、SLA(Service Level Agreement)があること、Google App Engineでは利用できない.NET系の言語、PHP等の言語、SQL Azureを利用できるので、どちらのサービスを利用するかは、用途や開発者がどの言語やツールに慣れているかによっても選択されるように思います。月500万ページビューのサーバーが無料や1万円程度で運用でき、追加料金さえ払えば、すぐに大規模なシステムでの運用ができるということで、いずれにしてもクラウドのコストパフォーマンスのよさには圧倒されます。

クラウドを使用することにより、資金がなくてもアイデアとプログラミングの才能さえあれば,短期間で大規模なシステムを運用することが可能になります。ITの世界は今までも変化が非常に激しい世界ですが、クラウドによって、また栄枯盛衰の世の中が見られるように思われます。